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2011-04-01
【MR・大手前通信】 東北地方太平洋沖地震関連の各種取扱い[vol.13]
【MR・大手前通信】 東北地方太平洋沖地震関連の各種取扱い[vol.13]
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このたびの「東北地方太平洋沖地震」におきまして、お亡くなりになられた方々の
ご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、そのご家族の方々に
心よりお見舞い申し上げます。
弊社においても、日本赤十字社の義援金募集への協力を通して、微力ながらも
被災された皆様の一助となれることを願っています。
これからも、1日も早い復旧・復興のために、我々にできる支援を行っていきたい
と思っています。
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-CONTENTS-
◇【税務】東北地方太平洋沖地震関連の税制の取扱い
◇【会計】東北地方太平洋沖地震に係る災害損失の会計処理
◇【労務】東北地方太平洋沖地震における給付と休業手当
◇ 編集後記
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【税務】東北地方太平洋沖地震関連の税制の取扱い
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この度の想像を絶する大震災は、直接被災をされた方のみならず、全国民の生
活にも大きな影響を与えています。
今回は、この大震災に関係のある税制の概要について説明させていただきます。
(1)被災された方に関する税制について
�共通項目
イ.申告、納付等の期限の延長
この度の震災で多大な被害を受けている地域(青森県、岩手県、宮城県、福
島県、茨城県)の納税者の方については、平成23年3月11日以後に期限が到
来する申告等の期限が全ての税目について自動的に延長されています。
なお、延長期限については被災者の方の状況に十分配慮して検討される事と
なっており、具体的な期限はまだ設定されていません。
�所得税
イ.雑損控除と災害免除法の適用
一般に盗難や横領、災害などにより資産に損害を受けた場合等には、雑損控
除という所得控除の適用を受けることが出来ます。
また、災害による被害を受けた場合には雑損控除に代えて災害免除法に定
める所得税額の軽減・免除を受ける事もできます。
災害免除法は1,000万円の所得制限および所得金額の区分に応じた軽減割
合が設定されていますので、雑損控除と比較していずれの適用が有利かを試
算する事が必要です。
ロ.平成23年に生じた損失の繰越
青色申告者の純損失の金額や繰越雑損失の金額は、平成23年以後3年間
にわたり繰り越すことができます。
白色申告者の場合でも、純損失の金額のうち被災事業用資産の損失の金額
や繰越雑損失の金額を平成23年以後3年間繰り越すことができます。
ハ.平成22年の所得税額の繰戻し還付
青色申告者で、平成22年、23年のいずれも青色申告書を提出する場合には、
一定の計算により平成22年度に納めた所得税の一部について、繰戻し還付
の適用を受ける事ができます。
�法人税
イ.災害により生じた繰越損失金の額
青色申告書を提出していない法人についても、7年間の繰越控除が認められ
ます。
ロ.青色申告書を提出する中小企業等
その事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度において納めた法人
税のうち一部について繰戻し還付の適用を受けることができます。
(2)支援をされる方に関する税制について
�共通項目
イ.災害により被害を受けた従業員又はその親族等に対して一定の基準に従っ
て支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金又は必要経費の額に算
入されます。
ロ.国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等のほか、日本赤十字
社や中央共同募金に対して直接寄附した義援金や報道機関に直接寄附した
義援金等で最終的に国又は地方公共団体に拠出されることが明らかなものは、
・法人・・・義援金の全額が、損金算入となる寄附金として取り扱われます。
・個人・・・義援金の額から2,000円を控除した金額と、所得金額の40%相当額と
のいずれか少ない金額が寄附金控除として、所得金額から控除される
事となります。
なお、現在の報道では個人(所得税)の寄付金控除の限度額である”所得金額
の40%相当額”の引き上げも検討されているとの事です。
�法人税
イ.法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において復旧支援を目的として売
掛金、貸付金等の債権を免除する場合や、無利息貸付による融資を行った場
合には、寄附金又は交際費以外の費用として損金の額に算入されます。
ロ.法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等
の提供に要する費用は、寄附金又は交際費等に該当しないもの(広告宣伝費
に準ずるもの)として損金の額に算入されます。
ハ.法人が、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程
においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与
等のために要した費用は、交際費等に該当しないものとして損金の額に算入
されます。
(3)大震災における税制特例法について
平成17年に発生した阪神・淡路大震災の際には、被災者の方への便宜や復興支
援の為、発生の約1ヶ月後に「阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律
の臨時特例に関する法律」が制定されました。
平成23年3月21日付けの日本経済新聞の紙面において、政府が震災復興支援の
ために租税の減免措置の検討に入ったと報じられています。
この度の震災においても過去の税制の特例を上回る支援が求められる状況であ
り、最大限の支援策が望まれます。
これら税制の特例が、被災された方の一刻も早い復興を支援出来る事を願って
止みません。
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【会計】東北地方太平洋沖地震に係る災害損失の会計処理
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大震災の非常事態の対応がまだ続いていますが、3月決算会社の経理担当者の
皆様は、災害関連の会計処理に頭を悩まされていることとと思います。
日本公認会計士協会は、平成23年3月30日に「東北地方太平洋沖地震による災
害に関する監査対応について」を公表しました。
これは、平成7年の「阪神・淡路大震災に係る災害損失の会計処理及び表示につ
いて」をベースに、監査上問題となる事項を中心に整理されたものです。
そこで今回は震災後に決算(四半期決算を含む)を迎える会社の経理処理として、
参考になる部分を中心に解説したいと思います。
(1)災害損失の範囲
会計処理が必要と考えられる災害損失には、下記が考えられます。
�固定資産(ソフトウエアや投資不動産も含む)や棚卸資産の滅失損失
�災害により損壊した資産の撤去費用等(点検費を含む)
�災害資産の現状回復費用等(価値減少を防止する費用を含む)
�災害による工場・店舗等の移転費用等
�災害による操業・営業休止期間中の固定費
�被災した代理店、特約店等の取引先の復旧支援費用(見舞金、債権の免除損
を含む)
�被災した従業員、役員等への復旧支援費用(見舞金、宿泊費を含む)
(2)会計処理と表示
�滅失した資産の帳簿価格を特別損失として処理します。
保険を付した資産の場合、査定まで相当の時間を要すると考えられます。
資産滅失にかかる特別損失処理は、滅失した時点で行い、その資産の保険金収
入は、その受取が確定した時点で特別利益等で計上します。
なお、重要性がある場合は注記等で状況を説明することが考えられます。
�資産の撤去等が決算日までに実施された場合は未払金として計上します。
決算日後に撤去等が予定されている場合は、その発生の可能性が高くかつ合理
的に見積もり可能であれば、引当金として、その名称を付した科目(撤去費用引
当金繰入額等)で計上することになります。
�原状回復費用であり、いわゆる修繕費に準じた会計処理を行います。
なお、価値が増加する場合は、資本的支出となりますので、注意が必要です。
�工場や店舗が被災地にあり移転をする場合は、原則として特別損失に計上し
ます。移転方針のみ意思決定されていて、金額的に重要性が高い場合は注記に
より概要を説明することが考えられます。
�災害による操業・営業の休止中の固定費には、計画停電による異常原価であ
る固定費も含まれます。計画停電になると、工場の生産がストップするだけでなく、
その段取り替えに相当の時間がかかります。これらの固定費に原価性がないと認
められる場合は生産設備の減価償却費や、休業中や段取り替えの労務費等も特
別損失として計上することになると思われます。
�取引関係者への復旧支援費用は、相手先やその目的に応じて、交際費あるい
は寄付金に準じて、特別損失として処理することになります。被災に伴い取引先の
債権を免除または減免する場合も特別損失処理することになります。
�従業員等への復旧支援費用は福利厚生費に準じて、特別損失として処理する
ことになります。なお、見積もりという概念はなじまないので、通常引当金として計
上することはできません。
一方、上記の表示区分については、すべて特別損失として、分かりやすい名称の
科目で表示するのが原則ですが、金額的重要性を勘案して営業外費用の区分で
処理する場合もあります。それぞれ適当な科目に分類して表示することが原則で
すが、災害損失等の科目で合算表示することも可能です。その場合は、注記で内
容を説明することになります。
なお、上記以外にも、留意すべき論点としては、今回の災害が企業の将来収益力
に少なからず影響を及ぼすことから、「繰延税金資産の回収可能性の判断」や「固
定資産の減損判定」、取引先や投資先の財政状態の悪化による「債権の引当金計
上」や「株式の減損処理」などへの影響も考慮する必要があります。
さらに、担保をつけている不動産が被災により価値が大幅に下落することも考えら
れるので自社保有資産以外についても留意が必要です。
今回紹介しました「東北地方太平洋沖地震の災害に関する監査対応について」は、
下記の 日本公認会計士協会のHPからダウンロードできます。
http://www.hp.jicpa.or.jp/
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【労務】東北地方太平洋沖地震における給付と休業手当
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東北地方太平洋沖地震において特例措置として施行された保険給付等の内容
および災害時における休業手当について、お知らせ致します。
(1)社会保険等の給付について
�失業手当の支給
事業所が災害を受けたため、やむを得ず、事業を休止し又は廃止したことにより
休業するに至り、就労することができず、かつ、賃金を受けることができない状態
にあるときは、実際に離職していなくても失業しているものとして失業の認定を行
い、雇用保険の失業手当を特定受給者として受給できる特例措置が実施されて
います。
�天災事変による労働災害補償(労災補償)
仕事中に地震や津波により建物が倒壊したこと等が原因で被災した場合、作業方
法や作業環境、事業場施設の状況などより、危険な環境下で仕事をしていたと認
められれば、労災補償の対象になります。
通勤途上で被災した場合も、業務災害と同様、その途上で津波や建物の倒壊等
により被災した時には、通勤に伴う危険が現実化したものとして、労災補償の対象
となります。
�傷病手当金
健康保険に加入している従業員(任意継続被保険者は除く)が、地震や津波によ
る業務外でのケガ等の療養のため、労務に服することができなくなったときは、で
きなくなった日から起算して3日を経過した日から、労務に服することができない期
間(1年6ヶ月を限度)について、1日あたり標準報酬日額の2/3の傷病手当金が
支給されます。
なお、被災地において健康保険証の紛失をされても氏名、生年月日、住所、事業所
名、連絡先を申し出ることで医療機関を受診することができます。
(2)震災による休業手当の必要性
労働基準法26条では「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、
使用者は、休業期間中当該従業員に、平均賃金の100分の60以上の手当を支払
わなければならない。」と定められています。
ただし、天災事変等の不可抗力で休業を余儀なくされる場合は、原則として使用者
の責に帰すべき事由にあたらず使用者に休業手当の支払義務はありません。ここ
でいう不可抗力とは、次の2つを満たすものでなければならないと解されています。
�その原因が事業の外部より発生した事故であること
�経営者として最大の注意をしてもなお避ける事のできない事故であること
今回の震災で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、その結果、従業員を
休ませる場合は、休業の原因が事業主の関与の範囲外のものであり、上記2つを
満たす事故に該当しません。従って、使用者の責に帰すべき事由に該当せず、休
業手当の支払いは必要ないと考えられます。
(3)雇用調整助成金の特例
雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)は、経済上の理由により
事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用を維持するために、一
時的に休業等を行った場合に当該休業等に係る休業手当相当額等の一部を助成
する制度です。
今回、この助成金の支給要件に「東北地方太平洋沖地震被害に伴う「経済上の理
由」で事業活動が縮小した場合」が追加されました。なお、東北地方太平洋沖地震
を直接的な理由(避難勧告・避難指示など法令上の制限を理由とするもの等)とした
事業活動の縮小については、「経済上の理由」に該当しないとされており、助成金の
対象外であることになるので注意が必要です。
その他、被災地域に事業所等がある場合、労働保険料及び社会保険料等の納期
限の延長措置がとられています。今回の震災に関する社会保険等の特例措置につ
いて、詳しくは、弊社までご連絡いただきますようお願いいたします。
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編集後記
私は兵庫県西宮市に住んでおりまして、阪神淡路大震災に小学校6年生の時に
遭遇いたしました。この度の東北地方太平洋沖地震は津波による被害が大きい
とはいえ、阪神淡路大震災を思い出してなりません。
私の身近では親戚や同級生が亡くなりました。私自身もいつ大きな余震が来て、
自分の家が倒壊するのではないかとおびえていたのを思い出します。
地震は街にも人の心にも大きな爪痕を残し、復興には大変時間がかかるものだ
と思います。
思えば阪神・淡路大震災のときにはたくさんの方々に助けていただきました。
この度の東北地方太平洋沖地震に被災された方々には、私のほうから、何か少
しでも力になれるように応援していきたいと思います。(植本)
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